変な感覚に陥る、泣きそうになる。
「DNAが変な感覚に陥る、泣きそうになる。」
「こうするとDNAの酸化をふせげるんだよ」
得意そうに、その奥さんは言った。
さらに、
「あなた、お姑さんと暮らしたことないでしょ」
と言った。
「こんなことも知らないのだから、まあ、当然でしょうねえ。お姑さんと同居すると、いろんなこと教えてもらえるから、いろんな知恵が身について立派な主婦のDNAをもてるのよ」
「お姑さんと同居していない主婦は、気楽すぎてだめね。進歩がない。云々」
というようなことも言った。
「なんなら、いろいろ家事のコツをおしえてあげようか?」
と言われたので、うなずくと
「ただし、一万円もらうからね」
と言うので、
「それなら、けっこうです」」と断ると
「じゃあ、肩を揉んでくれたら、それでいいわ」
それで私は彼女の肩を揉んだ。
彼女の肩は、とてもやせていて、か弱くて、ひんやりしていた。
その感触に泣きそうになった。
ものすごく苦労しているDNAが、肩の感触からひしひしと伝わってきたからだ。
今まで生きてきて、こんなに哀愁を帯びた肩を揉んだことがなかった。
そう思いながら、涙が止まらず、私は彼女の肩を揉み続けていた。